中央大学について
中央大学大学院戦略経営研究科の教育課程における『生成系AI』利用上の留意事項について
2023 年10 月20 日
表記の件につきまして、生成系AI利用に関する中央大学の対応*としては、2023年6月5日付け学長決定「中央大学の教育課程における『生成系AI』利用上の留意事項について」と2023年9月19日付「中央大学大学院の学位論文等の執筆における『生成系AI』利用上の留意事項」が発表されている。 前者は主として学部の教育課程を念頭に、単位認定資料としてのレポート等の作成やその評価の方法について定められたものであり、後者は大学院の学生が学位論文等を執筆する場合について定められたものであるが、戦略経営研究科は対象外となっている。
戦略経営研究科戦略経営専攻(MBA課程)においては、学位論文は執筆しないものの、論文や課題研究等のプロジェクト研究成果物は学会や学術誌で発表されることもあることから、「中央大学大学院の学位論文等の執筆における『生成系AI』利用上の留意事項」を一部取り入れ、研究科として「中央大学大学院戦略経営研究科の教育課程における『生成系AI』利用上の留意事項」を以下の通り定めることとする。
中央大学大学院戦略経営研究科の教育課程における『生成系AI』利用上の留意事項
2023 年10 月20 日
戦略経営研究科長決定
(この留意事項の対象範囲)
1 この留意事項は、中央大学大学院戦略経営研究科(以下「本研究科」)で教育を担当する全ての教員及び本研究科で学ぶ全ての学生を対象とする。
(この留意事項の位置付け)
2 この留意事項は、「中央大学の教育課程における『生成系AI』利用上の留意事項」(2023年6 月5 日 学長決定)の第2 項に規定する別の定めとして、本研究科が管理する教育課程における生成系AI システムの利用に係る原則を定める。ただし、本研究科は、その教育課程を構成する科目担当教員が、この留意事項と異なる定めをすることを認めることができる。
(生成系AI システムの定義)
3 この留意事項において、生成系AI システムとは、コンピュータシステム(ネットワーク上のサービスとして提供されているものを含む。)のうち、データに基づく学習を行い、かつ、その学習結果に基づく新たな出力を行う機能を備えるものをいう。
(教員による生成系AI システムの利用)
4 教員は、その担当する科目の教育について、道具として生成系AI システムを利用し、及び、教材として生成系AI システムの出力を利用することを妨げられない。
5 教員は、前項の利用を行った場合、当該科目の履修者に対して、当該利用の事実を告知しなければならない。
(学生による生成系AI システムの利用)
6 学生は、その履修する科目の学修について、道具として生成系AI システムを用いることを妨げられない。ただし、生成系AI システムは、利用者が入力した情報を記録及び学習する特性を有することから、次のような情報を入力してはならない。
ア 研究上や業務上の秘密等一般に秘密として取り扱うべき情報
イ 個人情報やプライバシー情報等の人格的利益を害する蓋然性のある情報
ウ 他者の名誉等の人格的利益を害することを目的とする虚偽の情報
(学生によるレポート等の作成における生成系AI システムの利用)
7 前項にかかわらず、学生が履修する科目において、論文・課題研究・プロジェクトレポート・講義課題レポート等の学修成果物(以下「レポート等」)の作成及び提出をする場合においては、生成系AIシステムの出力内容を参考資料とすることは差し支えないが、当該出力内容そのものをレポート等としてはならない。
8 学生が、レポート等の作成及び提出をする場合において、生成系AI システムの出力内容を参考資料とした場合は、当該レポート等に次の事項を明示、又は添付しなければならない。ただし、ウ及びエについては、当該科目を担当する教員が予め指示したときは、追加提出に応じることができるように準備することで足りるものとする。
ア 利用した生成系AI システムの名称及びバージョン
イ 生成系AI システムの利用日
ウ 生成系AI システムに投入したプロンプト等の情報及び環境設定
エ 生成系AI システムの出力内容
9 学生は、レポート等の執筆に際して、生成系AIシステムの出力内容そのものを事実の根拠として扱ってはならない。必ず一次情報まで遡る等の方法により自ら検証を行い、事実の根拠となるデータ等を記述しなければならない。
10 学生は、前項に定める検証を行うに際して、生成系AIシステムの出力内容には、その特性上、インターネット上にも存在しない虚偽又は不正確な情報が含まれる場合があることを踏まえなければならず、生成系AIシステムの出力内容の真偽についての確認を怠って、虚偽又は不正確な情報を参考資料としてレポート等に利用した場合、当該情報を生成したのが生成系AIシステムであることを免責理由として主張することはできない。
11 生成系AIシステムの出力内容は、一般に著作権法上の著作物ではないと理解されているが、その一部に第三者の著作物が含まれていることがある。学生が、このような生成系AIシステムの出力内容に由来する第三者の著作物をレポート等に組み込む等の方法で利用した場合、当該学生の認識のいかんにかかわらず、当該第三者の著作権侵害の不法行為となる可能性があり、又は、著作権侵害とはならなくとも研究倫理違反たる剽窃となる可能性があるため、生成系AIシステムの出力内容を参考資料として利用する際には、特段の注意をしなければならない。
(教員による学生の生成系AIシステム利用の制限)
12 第6項から第11項にかかわらず、教員は、その担当する科目の教育に必要と認める場合、当該科目における学修の特定の部分について、生成系AIシステムの利用を禁止し、又は、制限することができる。ただし、これを行う場合には、禁止又は制限の内容及びその教育上の理由を明瞭に履修学生に示さなければならない。
(成績評価)
13 学生が第7項又は第8項に違反したレポート等を提出した場合、当該科目を担当する教員は、成績評価上、当該レポート等が提出されなかったものとして扱うものとする。
14 前項にかかわらず、当該科目を担当する教員は、他の成績評価要素によればS・A・B・C の評価をもって単位を付与すべき場合であっても、当該学生の成績をF(評価不能)とすることができる。ただし、この措置を行うためには、当該科目を履修する学生に、予めその旨を周知しておかなければならない。
(改正)
15 この留意事項の改正は、教務委員会の議を経て教授会がこれを行う。
以上