商学部

「Jリーグ・ビジネス論Ⅰ(明治安田寄付講座)」に、横浜Fマリノスの元代表取締役社長の嘉悦朗氏が登壇しました

商学部『スポーツ・ビジネス・プログラム』の科目の一つである「Jリーグ・ビジネス論Ⅰ(明治安田寄付講座:担当教員 渡辺岳夫)」に、6月13日(木)、横浜Fマリノスの元代表取締役社長の嘉悦朗氏が登壇しました。


Jリーグビジネス論は、主としてJリーグの各クラブの経営者・経営管理者が講師として登壇して、地域特性、スポンサー特性、スタジアム特性、サポーター特性を踏まえて、どのようなクラブ経営を行っているのかをご講義いただいています。

 6月13日の授業では、嘉悦氏が社長に就任した2009年まで親会社の日産に過度に依存する構造が常態化し、親会社の経営状況がクラブの死活問題に直結する状況だったという解説から始まりました。嘉悦氏が就任した前年にはリーマンショックがあり、日産からの支援が激減して、強化も十分に行えないまま、マリノスはリーグの10位前後をさまよっていました。
 そこで嘉悦氏は、日産への過度な依存から脱却し、持続可能な成長の基盤を作るために、マリノスの抜本的な経営改革に取り組みました。第一段階として着手したのは「マリノスの再生」です。日産の支援に頼らず、主体的に売上を増加させてチーム強化の原資を作り、マリノスを再生させるというものです。具体的には、2010年の入場者数20%増を目標に掲げ、CFTという多様なアイデアを結集するチーム活動を導入して、50を超える方策を実行しました。その結果、Jリーグ全体が入場者数を減らす中、16.4%増という成果を上げました。この成功体験をテコに、CFTを全事業に拡大して、2013年にはクラブ史上最高の収益を達成しました。チーム強化に関しては、選手の補強に加えて「スタイルの構築(チーム戦術の明確化)」に取り組み、順位をV字回復させて、2013年には優勝争いを繰り広げ、天皇杯を獲りました。こうして「マリノスの再生」は、ほぼ実現しましたが、それでも2013年の営業利益はわずかな額であり、リーグ優勝も最後に逃がすなど、第一段階の改革には限界が見えたそうです。
 そこで第二段階として着手したのが「マリノスの進化」です。ただ、それまでの延長線上にない変革が必要でしたので、先進的な知見と経験を有するシティ・フットボール・グループとの資本提携に取り組み、2014年に実現しました。経営はもちろん、チーム強化に関しても最先端のノウハウを持つ同グループとの提携は、その後のマリノスに劇的な変化をもたらし、現在の躍進につながっているようです。
 そして、嘉悦氏が、最後の難題ととらえていたのが、コスト面で大きな負担となっていた「マリノスタウンの移転問題」でした。これには非常に多くの解決すべき課題があったようですが、自身の在任期間中に決着をつけるという覚悟を持って臨み、これをやり切って退任したとのことでした。

関連リンク

中央大学商学部「プログラム科目」(中央大学公式Webサイト)

 ▷「スポーツ・ビジネス・プログラム」Webページ
 https://www.chuo-u.ac.jp/academics/faculties/commerce/point/program/program_01/