経済学部

ANA(空港グランドハンドリング協会)様をお招きして特別講演が行われました。経済学部「交通経済論」の特別講義(第1回)

2024年6月24日(月)、経済学部の「交通経済論(担当:後藤孝夫)」にて、全日本空輸株式会社(以下ANA)グランドハンドリング企画部の曽原 倫太郎さま、川原 鉄平さまにお越しいただき、「航空産業における空港ハンドリング業界の構造と課題」と題した特別講演が行われました。グランドハンドリングとは、航空機運航を支える地上支援業務の総称で、旅客の搭乗に関する受付・案内、手荷物や貨物の積込み、機内清掃や給排水、航空機の牽引・誘導や整備補助など、その業務は非常に多岐に渡ります。

登壇された曽原さまはANAに入社後、人事労務や空港政策に長く携わってきた経歴の持ち主で、2017年からの羽田空港増枠対応のプロジェクトリーダーの後、現在のグランドハンドリング企画部長となられました。

講演は航空産業のプレビューから始まり、航空産業が労働集約型産業であること、また装置産業でもあることを、「例えば国内線1機の到着から出発までの折り返し時間は40〜50分、その間に関わるグランドハンドリング要員は45人くらい」といったように具体的な数字とともにお話されました。続いて多種多様で複雑な業務の種類とその現状について一通り説明し、業界の歴史やグランドハンドリング会社の分類について教えてくださいました。

曽原さまはここまでの説明で「グランドハンドリング業務は60年間仕事内容が大きく変わっていない」と指摘しながら問題・課題を整理していき、こうした現状を打破し持続可能に発展すべく、全国に約400社あるというグランドハンドリング関連会社を対象に業界団体を立ち上げた経緯をお話くださいました。曽原さまは業界団体の作り方もわからないまま同業他社に電話して回り、団体創設の必要性を説いて協力を仰ぎ、まずは12社で前身となる組織を立ち上げたということで、その地道なやり方に驚きの表情を見せる学生もいました。

2022年11月に空港グランドハンドリング協会の前身となるグランドハンドリング連絡会を立ち上げ、2023年夏に正式に空港グランドハンドリング協会が設立されたというまだまだ直近の話ですが、すでに国からの補助も受けて労働環境の改善(休憩室の整備など)や業務の効率化につながる様々な施策を進めているということです。また、ANAとしての取り組みとして、作業の自動化技術の開発(無人運転のトーイングトラクターなど)や大手航空会社間での資格の相互承認などを進めているということです。60年間の停滞から一転、その業務改善のスピード感にワクワクするようなお話でした。

多岐に渡るテーマだけに、学生からの事前質問も数多く挙がっていましたが、講演後、曽原さまは時間の許す限り丁寧にお答えくださいました。