大学院

【究める vol.139】留学生の声 于 鳴カンさん(商学研究科 博士前期課程)

2024年05月27日

「究める」では、大学院に関わる人や活動をご紹介しています。
140回目となる今回は、留学生の于 鳴カンさん(商学研究科 博士前期課程)に中央大学大学院へ進学を決めた理由やご自身の興味関心、研究テーマについてお話を伺いました。

于 鳴カン (ウ メイカン) さん

商学研究科 博士前期課程  

研究テーマや大学院で過ごす日々の様子について、詳しくお答えいただきました。
中央大学大学院への進学を考えている留学生の方はもちろん、大学院で研究をすることに関心があり、進学を検討しているみなさんは、ぜひご覧ください。

日本の大学院で研究しようと思った理由について教えてください。

日本の大学院での学びを選んだ理由は、日本の高校や大学における教育方法、なかでも大学また大学院におけるゼミでの学びについて深く探求したかったからです。日本の教育方法に関する好奇心を引き起こしたのは、2017年の夏期交換プログラムでした。その時、日本と中国の教育方法の違いを実体験しました。NHKなどの企業を訪れ、日本の企業文化や人事管理の実践に直接触れる機会を得ました。

中国の学部では人材管理を専攻し、企業の人事制度や研修制度など制度を中心に学びました。一方、日本での夏期交換プログラムでは、人事部門が企業において果たす重要な役割や、日本の教育がどのように国際競争力のある人材を育成しているかなど人材を中心として学びました。私は日本の大学院での研究を通じて、日本の教育方法や企業文化への理解を深めるだけでなく、中国での制度を中心とした学びと日本での人材を中心とした学びを組み合わせ、将来の国際人材管理分野により大きな貢献をすることを目指しています。
このような理由から、私は日本の大学院で研究しようと思いました。

中央大学大学院を進学先として選んだ理由を教えてください。

中央大学大学院を進学先に選んだ理由は、中央大学商学研究科の特色にあります。まず、教員数が学生数の約1.5倍であるという点です。この比率から、個別の学術的な対話や指導がより充実すると感じています。自分の研究について、私は一面的な考え方をしがちですが、教授からは専門家として多面的な視点からアドバイスをいただけます。このような時間が充実していることが、中央大学商学研究科の特色です。

次に、中央大学商学研究科では学際的な学びが重視されていることです。私は管理学を専攻していますが、経済学、心理学など他の分野の授業も受けることができます。このように、様々な学びを融合して、自分の研究を進めることができます。

さらに、教授やスタッフによる留学生のサポートが充実しています。例えば、教授からは、先輩留学生とのネットワーク構築に関するサポートがありました。スタッフによる留学生のための学生生活に関するサポートも充実しています。

また、中央大学の学生食堂はリーズナブルな価格と豊富な品揃えで有名です。食いしん坊の私にとっては大きな魅力です。

大学院での研究テーマについて

私はキャリア自律に焦点を当て研究しています。キャリア自律とは、自己認識と自己の価値観、自らのキャリアを主体的に形成する意識をもとに、環境変化に適応しながら、主体的に行動し、継続的にキャリア開発に取り組むことです(堀内・岡田, 2009)。

このテーマへの関心は、日本と中国の学生のアルバイトに関する違いから来ています。日本では、高校生でアルバイトを始めることが珍しくありません。一方、中国ではその経験がほとんどない学生が多いです。それが、就職活動において目標やキャリア計画の明確さを欠いているように見えるなど、キャリア自律の不足に繋がる可能性があります。

しかし、パーソル総合研究所の「APAC就業実態・成長意識調査(2019)」によると、アジア諸国の中で自己成長について「特に何も行っていない」は日本が突出しており、日本の労働者の自己成長意欲が著しく不足していることがわかりました。このことより、キャリア自律の背後にある要因を探求し、キャリア自律を向上させる方法を検討したいと思うようになりました。
以上のように、私の研究は、文化・教育・個人の価値観など、キャリア自律に影響を与えるさまざまな要因を探求し、キャリア自律を促進する方法を見つけることを目指しています。具体的には、異なる文化背景でのキャリア自律モデルの比較と分析を通じて、多文化共生社会におけるキャリア自律に新たな視点を提供したいです。また、キャリア自律を促進する方法についての実践的な提案を行いたいです。

中央大学大学院に進学してよかったこと

中央大学で大学院生として学ぶことには、多くの利点があります。その中でも、世界各地からの友人と出会う幸運に恵まれました。日本の学生との交流に加えて、マレーシアやウクライナなどの国からの学生とも友情を築くことができました。このような異文化交流は私に大きな恩恵をもたらしました。私の視野が広がるだけでなく、異なる文化の思考スタイルや価値観を理解する機会となりました。例えば、マレーシアの同級生との交流で、彼らの問題への取り組み方が異なることを理解し、異なる視点を受け入れることを学びました。そして、異なる文化を持つ人とコミュニケーションを取る方法を身につけました。

また、論文を執筆する過程で、自らの分析力と批判的思考力を磨くことができています。情報を収集し、整理し、論点を論証するために、分析が求められました。同級生や指導教員との議論を通じて、問題を複数の視点から検討し、研究の問題点を見つけ出し、解決していくことを学びました。このような批判的思考の養成は、学術的な側面だけでなく、将来の職業生活にも役立つ基盤を築いています。

さらに、教授との学びの中で、研究職に対する理解も深まりました。彼らの専門知識、研究手法、研究への情熱、留学生を理解した上での指導に触れることで、私は大いに感銘を受けました。彼らは優れた学者であるだけでなく、優れた指導者でもあります。教授の姿を見て、私も研究職につきたいと思うようになりました。
以上から、中央大学での大学院生活を通して、私は異文化交流の機会、分析力と思考力、研究職に就くという人生の目標を得ることができました。ここでの大学院生活は、私の人生の宝となり、将来のキャリア開発のための基盤となると思っています。

ご自身にとって大学院とはどのような場所ですか。

大学院は、私にとって知識の習得と異文化交流の場です。

知識の習得に関しては、大学院で管理学などの専門知識を深めるだけでなく、大学院入学まで接点のなかった分野にも触れる機会があります。例えば、統計学のR言語プログラミングなどが挙げられます。さらに、学術論文執筆に関する知識も習得しています。論文執筆の過程から、批判的思考力を向上させることができています。
異文化交流に関しては、大学院は世界中から異なる背景を持つ学生との交流の場を提供しています。彼らとの交流を通じて、他国の文化や風習を理解し、多様な価値観を受け入れることができます。このような異文化間の交流は、自らの視野を広げるだけでなく、異なる背景を持つ人々と協力する能力を養う上で極めて重要です。

大学院を目指すみなさんへのメッセージ

中央大学多摩キャンパスは美しい自然環境の中にあり、優れた設備を誇り、学習に最適な環境を提供しています。ここでは、最先端の学術知識を身につけるだけでなく、国際交流も奨励しています。さらに、キャンパス内にはさまざまなサークル活動や文化イベントもあり、志を同じくする仲間と出会い、趣味や人間関係を広げる機会を提供しています。未来を見据えた優れた大学として、中央大学は学生に様々な学術的および職業的発展の機会を提供しています。中央大学の大学院で皆さんとお会いできることを心待ちにし、共に研究と人生の素晴らしい旅路に踏み出せることを楽しみにしています!

 

 

 

 

 

※本記事は、2024年5月時点の内容です。