全学連携教育機構(全学的教育プログラム)

【FLP国際協力】中川康弘ゼミの活動報告

―荒川区立第九中学校夜間学級の見学調査―

2024年5月31日(金)、中川康弘ゼミでは、荒川区立第九中学校夜間学級を訪問し、夜間学級の授業見学を行い、副校長の高橋先生と英語教諭の大西先生から近年の教育問題についてお話を伺いました。

「夜間学級」とは、義務教育を終えていない人や何らかの理由で十分に学ぶことのできなかった人が夜の時間帯に学校に通い、運営されている学級です。

荒川区立第九中学校夜間学級は、平成5年公開の松竹映画『学校』(山田洋次監督)の舞台であり、平成29年に開設60周年を迎えました。

夜間学級は日本国内にわずか53校しか存在しておらず、設置自治体にも偏りがあるのが現状です。また、高校進学を希望する生徒への進路指導や既卒生徒への対応などには課題が残っていることを学びました。学び直しの生徒として70代の生徒がいたり、昼間に働きながら通うネパール人の生徒が多くいたり、多様性に溢れた学級でした。

全体を通じて私は、個別最適な学びと協働的な学びをどんな人にも平等に提供できる教育環境を作るために、まずは多くの人が夜間学級の存在を知ってもらうこと、そのために実際に見ることができるオープンな場所を設けることの重要性を感じました。

授業では、日本語、英語、社会、理科など科目ごとに生徒約40人が5学級に分かれ、少人数形式で行われていました。年齢も国籍もさまざまで、各人に強い学ぶ意欲を感じ、私自身、教育の在り方や将来を見つめなおす素晴らしい機会になりました。

今年度の中川ゼミでは、文献を用いて「公正とは何か」を問う議論を行っています。今回の調査を踏まえ、教育の観点から、公正な社会的包摂とは何かについて、さらに深く考えていきたいと思います。

執筆:文学部人文社会学科教育学専攻2年 荒木結衣